| Q:ステロイド外用剤の塗り方や使い分けはどのようにすればよいですか?全体に使用するのですか?それとも患部だけなのでしょうか?アトピー性皮膚炎の場合、よい部分とひどい部分などいろいろ混じっていますが... |
| A:ステロイドというと副作用を気にされる方が多いのですが、正しい使い方をすれば怖いものではありません。ステロイドには強さの段階があり、症状や部位にあわせて使い分けます。症状が強い部位には強いステロイドをしっかり塗り、軽くなるにつれて弱めたり塗る回数を減らしてゆきます。また症状が広範囲に及ぶ場合はステロイドと保湿剤の混合を簡便さを優先して使用していただくこともあります。基本は略全身の乾燥肌を呈している皮膚に保湿剤を使用し、湿疹症状がはっきりしている部位にステロイドを上から重ね塗りしていただきながら、最低限の薬剤でよい状態を長く維持できるようにを目標にするよう勧めています。 |
| Q:アトピー性皮膚炎の治療について、どのような基本方針でしょうか? |
| A:基本的にはいかに症状を最低限の薬剤でコントロールできるかということを柱にしています。症状には波があります。良いときもあれば、悪いときもあるだろうと思います。出来るだけよい状態を長く維持し、悪い時期を最小限にすることを考えます。症状や部位に応じてステロイド外用剤を使用し、よくなるに従って保湿剤などのスキンケアを治療の中心に移行してゆきます。外用剤による治療が主軸であり、抗アレルギー剤などの内服は治療の補助であると考えています。内服を併用してご自身でかゆみが軽くなるのを実感される方や、引っかき傷が少なくなるなどの目で見える効果が得られる方には処方しています。確かに背中の手が届く範囲に一致して皮疹が悪くなっていて、背骨付近はきれいな皮膚をされている患者様もおられますので、引っ掻くという行為は悪くする因子だと思いますし、ご自身で自覚されている方もおられます。引っ掻くという行為が続くと、皮膚が苔癬化(皮膚がゴワゴワになる)や痒疹(1個1個の皮疹が虫刺されの痕のように固く盛り上がる)、夏には容易に「とびひ(伝染性膿痂疹)」を引き起こします。ご自身の皮疹の状態がどれくらいの強さのステロイド外用剤でコントロールできるのか、ということを少しずつでも覚えていただいて、ご自身やご家族の方にもある程度の薬剤の選択が出来るように指導してゆきたいと考えています。いずれにせよ、医師だけではなく患者様との二人三脚でアトピー性皮膚炎がコントロールできればよいと思います。 |
| Q:ステロイド外用剤の使用についてどのような考えですか?また、副作用はどのようなものでしょうか? |
A:状態に応じて、ステロイドは適切に使用すべきだと考えています。保湿剤や非ステロイド外用剤だけで患者さま全員がずっとコントロール出来るものだとは考えていません。但し、使用にあたっては症状や部位に応じてステロイド外用剤の強さを変更する、あるいは保湿剤単独のスキンケアへと移ってゆきます。未だにステロイド外用剤についての誤解されていることも多いようです。例えば、ステロイド外用剤を使用すると皮膚が黒くなる、ステロイド外用剤を中止するとリバウンドが起きる、などです。しかし、副作用があるのも事実です。ステロイド外用剤を使用すると、皮膚の炎症を抑えるとともに塗った皮膚の抵抗力(免疫力)が低下しますので、細菌、カビ、ウイルスが付着したり増加してニキビやヘルペスをひどくする場合があります。今までと違う症状がでた場合には早めにご相談下さい。中止、あるいは適切な薬剤の使用によって短期間で治療できます。また、クスリの吸収がよい部位(顔面:毛包脂腺系が発達している,陰嚢やご老人の皮膚:皮膚が薄い など)に長期間にわたって強いステロイド外用剤を使用すると小さな血管が浮き出たり、皮膚が薄くなってくることがあります。病変の部位を選んで適切な強さで外用し、クスリを休む期間を設けたり、免疫抑制剤(プロトピック )などを使用することによって、これらの症状を避けることが出来ます。( 参照:ステロイド外用療法:「アトピー性皮膚炎 よりよい治療のためのEBMとデータ集」、興和創薬株式会社「ステロイド外用剤のウソとホント」) |
| Q:以前からアトピー性皮膚炎という診断を受けているのですが、何が原因なのか知りたいと思います。血液検査でわかりますか? |
| A:元来、アトピー性皮膚炎とは「アレルギーを起こしやすい体質」と「敏感肌・乾燥肌」を併せ持っている方が「環境要因に伴う刺激」に対して主に皮膚表面で反応を慢性的に繰り返している状態だと考えられています。小さなお子様では確かにアレルギーの要素(特に卵白などの食物アレルゲン)が強いので血液検査でⅠ型(即時型)アレルギー反応を調べることも重要ですが、年齢を経るに従ってほとんどはⅣ型(遅延型)アレルギー反応が優位となってしまいますので、この場合には血液検査では判定できません。あまり「アレルギー」という言葉に敏感にならないで、物質が皮膚から入って湿疹反応を起こすのだから、敏感肌や乾燥肌を少しでも整えるために日々のスキンケアに留意したり、湿疹で肌が荒れていれば当然ながら様々な物質が皮膚へ侵入しやすくなっているわけですから早めにステロイドなどの治療薬を使ってよい状況へ戻す事などを重視した方がよろしいかと思います。 |
| Q:いわゆる民間療法については、どう思いますか? |
A:現時点で、西洋医学的見地からみて有効性が実証されていないからといって、その有用性を完全に否定すべきものではないと思います。但し、あまりにも改善が見られない場合や、高額なものはいかがなものでしょうか?中には民間療法で改善される方もおられるのでしょうが、その割合はどの程度のものなのでしょうか?私は医学的治療を優先し、スキンケアやサプリメントなどの一環として補助的に使用するものだと考えています。スキンケア製品として考えた場合に、使ってもらうためには使用感というのも重要な因子だと思いますので。 (参照:民間療法:「アトピー性皮膚炎 よりよい治療のためのEBMとデータ集) |
| Q:痒み止めといって処方していただく飲み薬(抗アレルギー剤)がどうも私にはどれも効果がないようですが、それでも飲み続けたほうがよいのでしょうか? |
| A:アトピー性皮膚炎の治療でより大切なのは塗り薬だと考えています。痒いから引っ掻いてしまうのですが、患者様の中には明らかに手が届く範囲の皮膚に限局して湿疹部位が悪化していたり、逆に手が届きにくい背骨付近は非常にきれいな肌をされていることも少なくありません。こうしたことからも確かに引っ掻くことによって皮膚のバリア機構が破壊され、よりアレルゲンなどが侵入しやすい状況となるなどの悪循環が見て取れます。無意識に引っ掻くのが薬を内服することによって少なくなる、あるいは「痒い」というのも嫌な感情であり、それが軽くなるならば飲む意義があるでしょう。抗アレルギー剤は「じんま疹」などでは多大な効果を発揮しますが、アトピー性皮膚炎の痒みに対しては奏功しないことが少なくありません。また、湿疹部位が外用によって軽くなってくると必然的に痒みは軽くなってきます。薬を内服して痒みが軽くなる、無意識に引っ掻くのが減るようであれば続ければよいでしょうし、症状が軽くなって内服しなくても痒みをほとんど感じない、引っ掻き傷も見受けられないようであれば不要でしょう。また、内服しても効果が感じられなければ私は中止してもよいと思います。繰り返しますが、あくまでも湿疹・皮膚炎の治療の主役は外用剤です。抗アレルギー剤の内服はあくまでも補助としての位置づけにあります。( 参照:抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬:アトピー性皮膚炎 よりよい治療のためのEBMとデータ集) |
Q:免疫抑制剤(プロトピック軟膏 )とはどんな薬で、どのような注意が必要ですか? |
A:プロトピック軟膏 (タクロリムス)は1999年に藤沢薬品(現Astellas製薬)によって世界に先駆けて日本で発売された従来のステロイド外用剤にも匹敵する有効性を持ったアトピー性皮膚炎の治療薬です。筑波の土壌から採取した真菌から得られた成分であり、同一成分を含んだ内服薬が臓器移植の拒絶反応を抑える目的で使用されていました。その抗炎症作用を外用薬に応用したものがプロトピック軟膏であり、0.1%成人用と0.03%小児用があります。プロトピック軟膏には次のような長所があります。①ステロイド外用剤のストロングクラス(例 リンデロンVなど)と同等の抗炎症作用があるにも関わらず、ステロイド長期外用で問題になる皮膚萎縮や毛細血管拡張症などの副作用が生じない。②ステロイド外用剤による皮膚萎縮などの副作用が出やすい顔や首にも使用しやすい。③正常な皮膚からはほとんど吸収されないため、より安全である。逆に、「使用に際しては、ほとんどの例で刺激(ほてり、ひりつき、かゆみ増強など)が生じる」という大きな欠点があります。多くの方は外用を始めて数日から1週間くらいで慣れて何とか使用できるようになられるのですが、中にはどうしても刺激が抜けない方もおられます。また皮膚症状が強いと副作用としての刺激も強く生じますので、最初はステロイド外用剤にて症状を少し落ち着けてから導入した方がスムーズに移行できるかも知れません。注意点として、使用経験が無いとの理由で新生児や2歳未満の幼児への使用が禁止されており、安全性の十分なデータが無いことから妊婦への使用が禁止されており、皮膚感染症(とびひ、ヘルペス、にきび など)がある部位や湿潤した部位(血液への吸収が高まるため)への使用なども禁止されています。使用に際して、使用上限である最高1回5g、1日10gという容量を遵守すれば高い血中薬物濃度が維持することがないのははっきりしていますので、節度ある使用をすれば過度の心配は不要です。 (参照:タクロリムス外用療法:アトピー性皮膚炎 よりよい治療のためのEBMとデータ集) |
| Q:妊娠中なのですがステロイド外用剤を使用しても問題ないのでしょうか? |
A:ステロイド外用剤の使用により奇形児を出産したとの報告はありません。添付文章中には動物実験で催奇形性が報告されているために「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人に対しては大量又は長期にわたる広範囲の使用を避けること」と記載されています。強いランクのステロイド外用剤を大量で長期に使用することが避けられない場合は医師と相談の上で判断しましょう。授乳についても同様に大量で長期に使用する場合などを除き、中止する必要はないとされています。添付文章においても授乳を避けるような記載はされていません。 引用:大谷道輝「皮膚外用剤のQ&A」(南山堂、2006年) *以下サイトが有用です。是非、ご覧下さい。( アトピー性皮膚炎に関する情報:九州大学医学部皮膚科学教室) |